天守ってなあに?
あの一番目立つ建物をお城って呼ぶんじゃないの?
石垣の上に建つ城内で一番大きな建築物のことをお城と呼んでいる人も多いかもしれません。
でも実はあれ、天守(天守閣)と呼びしっかりとした名称があります。
そんな観光面でもお城の機能としても重要である天守について紹介します!
また、天守にどんな種類があるかも紹介したいと思います。
天守とは?
天守とは、お城の中心となる場所に建てられた櫓(見晴らし台、武器庫)建築です。
どこのお城でもだいたい一番大きな建築物として存在感があるものです。
殿守、殿主、天主(安土城のみ)とも呼ばれています。
いつからなんのために作られた?
天守で一番最初に作られたと言われているのが、織田信長が作った安土城(1576年頃築)です。
それより前にも岐阜城などには大型の櫓がありましたが、安土城では「天主」と命名したのがはじまりと言われています。
今現在よくイメージされる天守は実は江戸時代(1603年)より少し前と案外新しいのですね!
天守は防衛拠点である一方、天下統一を目前にした信長の権力の誇示(シンボル)として作られたようです。
さらに信長の夢を継いで天下統一を果たした豊臣秀吉により、大坂城など巨大で豪華絢爛な天守が作られるようになり
権威の象徴として徐々に全国にも広まっていきました。
わしの力を見せつけるためにどこよりも
大きくて豪華な天守を築くのじゃ!
織田信長が安土城に力の誇示として作ったのが始まり!
天守が多く作られた時期
関ヶ原の戦い(1600年)後、西軍は改易(領地を没収)され、東軍は報酬として領地が分け与えられたりするなど大名の大きな配置転換がありました。
そのため、新たな土地に移り住んだ大名がこぞって築城するようになります。
これを「慶長の築城ラッシュ」と呼びます。
新しい土地での権力の誇示のため、未だ戦国の世であったため多くのお城が天守を作りました。
そして天守をコスパよく作る技術(層塔型)などが急激に発達します。
この時に作られて現存しているのが彦根城や松江城ですね。
関ヶ原後の大名の配置転換で築城ラッシュが始まる!
天守の役割とは?
巨大な建築物であった天守。
では実際どのように使われていたのでしょうか?
天守の役割
- 城内外の監視
- 高さを活かして物見として利用!
- 最終防御施設
- お城が攻め込まれた時に最後に逃げ込む場所
- 隠れたり籠城のための仕掛けが満載
- 権威の象徴
- とても目立つ作りでシンボルとして!
- 倉庫
- 武器などを置いていた!
主に戦のための重要施設として使われていたようですね。
意外ですが、殿さまが住む場所ではないんです。
なぜ今は天守がほとんど残っていない?
「慶長の築城ラッシュ」もあり、こぞってお城や天守が作られてはずなのになぜ今現在天守はほとんど残っていないの?
と言った疑問が出てくるかと思いますが、歴史を紐解けば理由がわかってきます。
大きく、以下の歴史的イベントが関わっています。
- 江戸時代:徳川幕府による「一国一城令」「武家諸法度」
- 明治:お城が国の持ち物になる「廃城令」
- 昭和:天守が空襲にあう「第二次世界大戦」
【江戸】一国一城令(いっこくいちじょうれい)
1615年に江戸2代目将軍の徳川秀忠によって一国一城令が発令されます。
字の通り一つの国に一つの城しか認めず、それ以外のお城をすべて廃城とする命令です。
豊臣方と徳川幕府の戦いであった大坂の陣の直後のことで、主に西国大名の力を削り取るのが目的でした。
この命令により、お城がどんどん取り壊されました。
【江戸】武家諸法度(ぶけしょはっと)
一国一城令のあと、全国の大名を取り締まる法令、武家諸法度が発布されます。
そのうちのひとつにこんな文があります。
「諸国ノ居城、修補ヲナスト雖、必ス言上スヘシ。況ンヤ新儀ノ構営堅ク停 止セシムル事。」
つまり、補修をする時には必ず申請し、新たな築城をするなということです。
この法令により、新たなお城(天守)が作られなくなっていきます。
【明治】廃城令(はいじょうれい)
1873年の廃藩置県により藩政が終わり、すべてのお城は陸軍の財産となりお城が存続の危機にたたされます。
陸軍用地として「在城」となるか、民家に払い下げる「廃城」として扱われるか選択が迫られます。
「在城」となったお城(43城)も、軍用地として使うため御殿などが取り壊されます。
「廃城」となったお城は、土地の売却や木材の転用などで取り壊されます。
【昭和】第二次世界大戦の空襲
昭和に入っても20基の天守が残っていましたが、第二次世界大戦の空襲など戦火に巻き込まれ、焼失してしまいます。
軍用地であったことや、目立つシンボルであったため標的とされました。
- 広島城
- 水戸城
- 大垣城
- 名古屋城
- 和歌山城
- 岡山城
- 福山城
- 松前城(空襲ではなく火事)
こうして、天守は幾度も取り壊しの危機があり、時代とともに無用の長物となっていったので
ほとんどなくなっています。そのため逆に言えば、今残っている天守は誰かが保存のために活動していないと残っていない天守ばかりです。
現在まで残っている天守を訪れる際には、なぜこの天守は残ったのだろうか?という視点を持ち合わせて鑑賞してみてください!
天守と天守閣の違い
同じ意味だが、天守が正式名称
結論から言うと、呼び方が違うだけで同じ意味を持ちます。
大阪城の天守は現在大阪城天守閣と呼ばれており、天守閣と呼ぶほうが親しみやすいのも事実と思います。
書籍などは天守で統一されています。ややこしいですね。
- 天守・・・・正式な学術用語
- 天守閣・・・江戸時代以降に作られた俗語(ニックネーム)
天守の種類 全5種
天守には今現在残っているものから、復元されたものまで様々あります。
復元されたものの中でも、外だけ再現したものや中まで忠実に再現したものなどがあります。
そういった種類分けするとどういった種類があるのか紹介して行きたいと思います!
また、それぞれ2基ほどピックアップしていますので、ぜひ知識として吸収してみてください。
【現存天守】約400年!江戸時代以前から残り現存12天守と呼ばれる
一番有名で貴重な天守です。
現存12天守と呼ばれ、その中でもより貴重で国宝指定されているのを国宝5城と呼ばれています。
また、明治までは20基ありましたが、そのうち戦火などで8基失い、現在の12基になっています。
こちら12基はぜひ知ってもらいたいので一覧で紹介したいと思います。
現存12天守一覧
- 弘前城(青森県弘前市)
- 【国宝】松本城(長野県松本市)
- 丸岡城(福井県坂井市)
- 【国宝】犬山城(愛知県犬山市)
- 【国宝】彦根城(滋賀県彦根市)
- 【世界遺産/国宝】姫路城(兵庫県姫路市)
- 【国宝】松江城(島根県松江市)
- 備中松山城(岡山県高梁市)
- 丸亀城(香川県丸亀市)
- 伊予松山城(愛媛県松山市)
- 宇和島城(愛媛県宇和島市)
- 高知城(高知県高知市)
姫路城(兵庫県姫路市)
お城好きでもそうでない人も知らない人はいないと思います。
世界遺産であり国宝であり国内最大の天守でもある、一番有名な日本の城と言っても過言ではないでしょう。
高知城(高知県高知市)
本丸御殿と呼ばれる懐徳館とともに現存している唯一の天守です。
城主との対面の場所として作られた御殿です。
【復興天守】かつて天守があり、推定で作ったもの
かつてその場所に天守があったが、史料の不足を理由に大きさやデザインなどを推定で作られたものです。
または再建の際に改変したものです。
天守の礎となる天守台が残ってて、その上に多分あったであろう天守を再建しているようなパターンが多いと思います!
大阪城(大阪府大阪市)
大阪の街のシンボルとも言える大阪城。
実は3代目の天守であり、豊臣時代、徳川時代とはまた違ったもので再建された復興天守となっています。
とても複雑ですが、今の大阪城は豊臣時代のものを改修した徳川時代のものであり
その徳川時代の大阪城に豊臣時代を参考にした天守が復興されています。
ただし、実際は黒壁だったりとそっくりそのままではないようです。
小田原城(神奈川県小田原市)
設計図が残っていましたが、当時にはなかった最上階の高欄付き廻縁(ベランダ)がつけられたため、復興となっています。
【外観復元天守】当時の資料を基に、外観だけを再現
鉄筋コンクリートで当時の構造を参考に外観のみを再現した天守です。
昭和時代に復元されたものが多いです。
熊本城(熊本県熊本市)
熊本地震により被害を受けた熊本城。天守自体は復旧が完了しています。
復旧される前から外観復元天守です。
岡山城(岡山県岡山市)
第二次世界大戦時に焼失したが、復元されました。黒塗りが美しいです。
【木造復元天守】当時の資料を基に、建材など忠実に再現
当時の設計図などを基に、建材や構法も再現した天守です。
外側だけではなく、内側も復元された天守ですね。
掛川城(静岡県掛川市)
日本初の木造復元天守。市長や市民の思いもあって木造で復元されました。
現存とは違った木のぬくもりを感じられます。
【模擬天守】天守があったかも不明で作られたもの
天守がそもそもないお城だったり、天守がはっきりとあったか不明なまま作られた天守です。
清州城(愛知県清須市)
清洲城跡(現在の天守は隣接地)に作られてなく、天守の姿も想像です。
模擬とは言え、織田信長の安土城や岐阜城を思わせる立派な天守です。
伊賀上野城(三重県伊賀市)
史実に基づかず、私財で作られた天守で正式名称は「伊賀文化産業城」と呼ばれています。
歴史とロマンを求めて…お城好き必見の旅プランはこちら!
・多忙で計画を立てられない
・ホテルはどこがいいのか
・宿と交通を一括で予約したい
・せっかくならガイドも欲しい
その悩み、JTBなら解決できます!
- 1. 計画も手間も省けるパッケージプラン
- 宿泊・交通・観光が一つにまとまったパッケージプランが豊富!
- 2. 厳選されたホテルで安心
- 厳選されたホテルから選べるため、どこに泊まるか悩む必要がありません。
- 3. 宿泊と交通がセットでラクラク予約
- 宿泊と交通を一緒に予約できるため、別々に手配する手間がかかりません。
- 4. プロのガイド付きツアーで特別な体験を
- 現地の魅力を最大限に楽しむためのガイド付きオプショナルツアーも充実しています。
コロナ禍のような社会情勢や災害によるお城への被害等により、安心してお城巡りできない日がくるかもしれません。
なので、今後の人生で一番若い日である今日に、今すぐお城巡りに行く計画を立ててみては!
\ いますぐオトクなプラン・宿を探す /
オトクな割引クーポンもあり!
公式サイト:https://www.jtb.co.jp/
お城巡りに持っていくべき本の紹介
お城巡りにガイドブックは必須です!持っていくだけで何倍も魅力が引き出せます!
持って行って良かったおすすめの本を紹介します!
お城初級者向け:日本100名城公式ガイドブック
専門的な知識はあまりなく、ただ単にお城いってみたい!全国の有名なお城の概要を知りたい!
という方にはコチラ!概要レベルの紹介で、見どころなどの情報がギュッと詰まっています。
さらには日本の他の名城も紹介しているので、次に次にお城に行きたくなる情報も満載!
お城中上級者向け:城の攻め方・つくり方
こちらは、ある程度お城をめぐって、天守の美しさだけではなく、内部構造や城郭、土塁、石垣、門、櫓などお城を成している構造物に着目している方向けです!
より深くお城に対しての知的好奇心がわく内容になっており、これを見ながら巡ると、着眼点が「お城っていいな~」から「このお城を攻めるには/守るにはどうすればいい!?」と変わってきます!おすすめです!
移動中や観光中に本を聴く
お城巡りをするときにはどうしても移動時間が発生してしまいます。
その移動中などの有効な時間の使い方として、「本を聴くサービス」のAmazon Audibleをおすすめします!
おすすめの理由!
- 目が疲れない(老眼が気になる人に)
- 乗り物酔いしない
- 本のように物理的なスペースを取らず、スマホから聴ける
- 20万冊以上が読み放題
- 朗読者がプロなので聴きやすい
- 無料体験で試せる!
例えば、大阪城を巡る前に、豊臣秀吉に関連する本を移動中に聴いておくと、より歴史を深く知れると思います!
私も登録して時々本を聴いていますが、お城巡りだけでなく、普段使いで料理中や作業中など~ながらで本をインプットできるので重宝しています!
\30日間無料体験! /
時々キャンペーンもしてるよ!要チェック!
まとめ
天守とはお城のシンボルで、現存や復元等様々な種類がある!
- 天守と天守閣の違いは呼び方だけ!
- 天守の始まりは織田信長の安土城!
- 天守は権威の象徴(シンボル)!
- 天守は数々の危機がありほとんど残っていない
- 現存、復元、模擬など様々な種類の天守がある!