松本城はなぜ五重六階?外から見えない3階の仕組み

外観五重の松本城大天守をイメージした水彩の表紙。外は五重、中はなぜ六階という問いを示す。

松本城の大天守が外からは5重、中に入ると6階なのは、2重目の屋根の内側に、外から見えない3階があるためです。屋根の重なりと内部の床は、一対一に対応していません。

外から数えたはずなのに、中では一つ多い! 「五重六階(ごじゅうろっかい)」という紹介には、そんな建物の仕組みが隠れています。見た目の数字を覚えるだけでなく、どこに一つ増えるのかを追ってみましょう。

悩む庶民

5階建てに見えるのに6階あるの? 屋根裏にもう一部屋、入っている感じ?

注目するのは最上階ではなく、下のほうの3階です。外をぐるりと屋根が囲むので、一つの階として見えにくいんですよ。

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「重」は外からの重なり、「階」は中の床

五重六階の二つの数字は、同じものを数えているわけではありません。重は外観の重なり、階は内部の床の層を表します。

松本城公式サイトは、大天守を「外観は五重、内部は六階」と説明しています。屋根が見える位置だけから、内部の床を一枚ずつ当てはめようとすると、数が合わなくなるのです。

見るところ松本城の大天守
外観の重なり5重
内部の床の層6階
外から見えない階3階

数字が食い違っているのではなく、数える対象が違うんだ! これだけでも、城の紹介にある「○重○階」が少し読みやすくなります。

3階は、2重目の屋根に囲まれている

公式の大天守各階の解説によると、3階の周囲には下から2重目の屋根が巡っています。外からは屋根の下に隠れて見えるため、一つの階として数えにくい造りなのです。

ただし、大天守3階に採光部がまったくないわけではありません。同じ公式ページの「乾小天守・三階」の説明では、大天守3階は南側の千鳥破風(ちどりはふ)にある武者窓から明かりを採るとされています。屋根に隠れた階にも、光を取り込む場所があるのですね。

建物の外側と内側を、横から切ったつもりで見ると分かりやすくなります。

下から2階、3階、4階を並べ、3階を2重目の屋根が囲む関係を示す部分断面図。南側の千鳥破風と採光部は省略。
松本城の2〜4階と屋根の関係を示すAI生成の模式図。3階を朱色で強調し、南側の千鳥破風と採光部は省略しています。部材・窓の配置や寸法を再現した実測図ではありません。

図では、屋根の内側にある3階を朱色で示しました。外から見える屋根を一つ数えても、その奥の床まで一つとは限らないのです。

この3階は「隠し階」や「暗闇重(くらやみじゅう)」と呼ばれます。屋根に囲まれる特徴を知ると、暗い空間も「ただの通り道」ではなく、屋根と床の関係を確かめる場所に変わります。

悩む庶民

秘密の階なら、敵をだますためにわざと隠したの?

「外から見えない」という造りと、「敵をだますため」という目的は別の話です。まず資料で確かめられる、屋根の内側に階がある仕組みを押さえましょう。

「隠し階」という名前だけで、秘密作戦を想像しない

松本城の公式解説では、3階は戦時に倉庫や避難所として使われたと考えられていると紹介されています。用途は推定を含む説明なので、「必ず兵を隠して待ち伏せした部屋」とは言い切れません。

「隠し」と聞くと、忍者が潜んでいそうな気もしますよね。でも、ここで面白いのは、隠し扉のような仕掛けを足さなくても、建物そのものの形に意外さがあること。大きな屋根の中に、一つの階が入っている。それだけでも十分不思議です。

城を使う側なら、外から見た姿だけでなく、中にどんな場所があるかも大切じゃ。見上げるときと中を歩くときで、同じ天守の違う面が見えてくるのう。

隣の乾小天守でも、外と中の数が違う

同じ松本城の乾小天守(いぬいこてんしゅ)にも、外から見えない階があります。公式サイトが示す数は、外観が3重、内部が4階。大天守だけの数え間違いではないのですね。

ただし採光には違いがあり、公式解説では、乾小天守3階には大天守のような明かり採りがないとされています。二つの天守を同じ「隠し階」と呼んでも、細部の造りまで同じではありません。

また公式サイトは、大天守の構造を「望楼型」としながら、外からは段々と細くなる「層塔型」のように見えるものと説明しています。型の名前を丸暗記するより、まずは外観だけでは内部の造りを読み切れないことを持ち帰れば十分です。

次に松本城の写真を見るときは、下から2重目の屋根に注目してみてください。「この屋根の内側に3階がある」と分かると、見慣れた姿にも奥行きが生まれます。

「城を一つ、二つとどう数えるか」や、建物の数え方全体は、こちらの記事で紹介しています。

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参考資料

資料確認:2026年9月15日。表紙と本文図はAI生成の説明用イメージ・模式図です。実測図や復元図ではありません。

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