本記事は、以下の疑問を解決します!
・現存天守とは?
・国宝になっているのは?
・現存はなぜ12城しかないの?
日本に2万以上あったと言われるお城。
そのなかで天守というお城のシンボルは安土城を始まりとした近世から作られるようになりました。
そのお城のシンボルについて、「現存天守」と呼ばれるものを聞いたことがありませんでしょうか?
この記事ではその現存天守がどこにいくつあるのか、なぜ今のような数になったのかを解説します!
また、それぞれの天守についてシンボルとしての迫力だけでなく
本来の機能である防衛面やデザイン性(意匠の工夫)などカンタンな短評で魅力を紹介したいと思います!
現存天守12城とは?
そもそも現存天守とは江戸時代以前に創建され、現在まで残っている天守(改修含む)のことです。
全国で12城残っており、うち5城が国宝となっています。
ですので、本記事で紹介するのは大阪城のような復興した鉄筋コンクリートつくりではなく、
江戸時代(1603~1868年)以前に作られた天守で、現在でも見られるもの限定となっています!
復興/復元された天守も素敵ですが、ほぼ作られた当時の姿のままであることで何倍にも価値があると思います!
現存天守12城一覧
現存天守12城一覧
- 弘前城(青森県弘前市)
- 【国宝】松本城(長野県松本市)
- 丸岡城(福井県坂井市)
- 【国宝】犬山城(愛知県犬山市)
- 【国宝】彦根城(滋賀県彦根市)
- 【世界遺産/国宝】姫路城(兵庫県姫路市)
- 【国宝】松江城(島根県松江市)
- 備中松山城(岡山県高梁市)
- 丸亀城(香川県丸亀市)
- 伊予松山城(愛媛県松山市)
- 宇和島城(愛媛県宇和島市)
- 高知城(高知県高知市)
現存天守12城の場所
基本的に西日本が多いですね。
東北の弘前城だけ離れています。短期間ですべて巡るのは難しそうですね。
そもそも天守とは?
そもそも天守とはお城の中心地にある大きい建造物のことでお城全体のことを指すわけではありません。
よくお城=天守という印象があると思いますが、実は違います。
ですので、お城の石垣や櫓や門がしっかり残っていても、天守が残っていないと現存天守ではないことになります。
例えば、二条城の二の丸御殿も現存で国宝ですが、天守ではないので12城のカウント外になります。
国宝になっているもの
先程の現存天守12城一覧にてすでに記載がありましたが、続いては国宝をピックアップして紹介したいと思います。
国宝天守5城一覧
国宝天守5城一覧
- 松本城(長野県松本市)
- 犬山城(愛知県犬山市)
- 彦根城(滋賀県彦根市)
- 姫路城(兵庫県姫路市)
- 松江城(島根県松江市)
国宝天守5城の場所
国宝の選定基準
何百年も前に作られた現存天守なのに、なぜ国宝であるものとそうでないものに分かれているのか疑問が湧かないでしょうか?
まず国宝の定義ですが「文部科学大臣は重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものを国宝」(文化財保護法27条より)とあります。
つまり、重要文化財に指定されているもので文部科学大臣が認定すれば国宝になります。結構曖昧ですね。
松江城の例
松江城は、2015年に国宝認定されました。
国宝指定において重要視されると言われている築城年数を特定できる祈祷札が神社で発見されたためです。
つまり、歴史的な価値を裏付ける史料が重要であるということで、他の天守も同じように史料の発見や裏付けができれば国宝になりうるということですね。
そのため、どこの天守も築城年数の特定等に向けて「研究/教育委員」や「市民の会」など国宝指定に向けた活動が活発化しています。
6城目の国宝がでてくるのも楽しみですね。
現存天守12城の紹介
弘前城
項 | 評価 | 説明 |
---|---|---|
古さ | 1810年再建 | |
大きさ | 約14.4m | |
防衛 | もとは櫓 | |
デザイン | シンプル層塔型 | |
交通 | 主要交通から遠い | |
観光 | 桜が有名 |
松本城
項 | 評価 | 説明 |
---|---|---|
古さ | 1592年 | |
大きさ | 約25m | |
防衛 | 数多い狭間 | |
デザイン | 白と黒の対比 | |
交通 | 新幹線駅 | |
観光 | お城がメイン |
丸岡城
項 | 評価 | 説明 |
---|---|---|
古さ | 1624~1644年 | |
大きさ | 約12.5m | |
防衛 | 階段が急 | |
デザイン | 廻縁高欄 | |
交通 | 主要交通から遠い | |
観光 | お城がメイン |
犬山城
項 | 評価 | 説明 |
---|---|---|
古さ | 1585~1590年 | |
大きさ | 約18m | |
防衛 | 2つの付櫓 | |
デザイン | 飾り窓、廻縁高欄 | |
交通 | 主要交通から遠い | |
観光 | 城下町が残る |
彦根城
項 | 評価 | 説明 |
---|---|---|
古さ | 1606年 | |
大きさ | 約15.5m | |
防衛 | 入り口が櫓 | |
デザイン | 最多の破風と窓 | |
交通 | 新幹線駅が近い | |
観光 | 城下町を再現 |
姫路城
項 | 評価 | 説明 |
---|---|---|
古さ | 1608年 | |
大きさ | 約31.5m | |
防衛 | 数々の仕掛け | |
デザイン | 白塗りが美しい | |
交通 | 新幹線駅 | |
観光 | 1日潰れる |
松江城
項 | 評価 | 説明 |
---|---|---|
古さ | 1611年 | |
大きさ | 約22.4m | |
防衛 | 最強付櫓 | |
デザイン | 黒塗りが多い | |
交通 | 主要交通から遠い | |
観光 | 水の都 |
備中松山城
項 | 評価 | 説明 |
---|---|---|
古さ | 1681~1683年 | |
大きさ | 約11m | |
防衛 | 防衛不向き | |
デザイン | 唐破風 | |
交通 | 標高430m | |
観光 | お城がメイン |
丸亀城
項 | 評価 | 説明 |
---|---|---|
古さ | 1643~1660年 | |
大きさ | 約14.5m | |
防衛 | 三重櫓と同等 | |
デザイン | シンプル層塔型 | |
交通 | 主要交通から遠い | |
観光 | うどん |
伊予松山城
項 | 評価 | 説明 |
---|---|---|
古さ | 1852年 | |
大きさ | 約20m | |
防衛 | 複雑な本壇 | |
デザイン | 飾り廻縁高欄 | |
交通 | 主要交通から遠い | |
観光 | 道後温泉 |
宇和島城
項 | 評価 | 説明 |
---|---|---|
古さ | 1664~1665年 | |
大きさ | 約15.7m | |
防衛 | 防衛機能ほぼ無 | |
デザイン | 大きな唐破風 | |
交通 | 主要交通から遠い | |
観光 | 海が近い |
高知城
項 | 評価 | 説明 |
---|---|---|
古さ | 1747年 | |
大きさ | 約18.6m | |
防衛 | しのび返し | |
デザイン | 大きな破風 | |
交通 | 主要交通が近い | |
観光 | ひろめ市場 |
現存はなぜ12城しかないの?
大阪城や名古屋城など復元/復興された天守は多いけれどなぜ今現在天守はほとんど残っていないの?
と言った疑問が出てくるかと思いますが、歴史を紐解けば理由がわかってきます。
大きく、以下の歴史的イベントが関わっています。
- 江戸時代:徳川幕府による「一国一城令」「武家諸法度」
- 明治:お城が国の持ち物になる「廃城令」
- 昭和:天守が空襲にあう「第二次世界大戦」
【江戸】一国一城令(いっこくいちじょうれい)
1615年に江戸2代目将軍の徳川秀忠によって一国一城令が発令されます。
字の通り一つの国に一つの城しか認めず、それ以外のお城をすべて廃城とする命令です。
豊臣方と徳川幕府の戦いであった大坂の陣の直後のことで、主に西国大名の力を削り取るのが目的でした。
この命令により、お城がどんどん取り壊されました。
【江戸】武家諸法度(ぶけしょはっと)
一国一城令のあと、全国の大名を取り締まる法令、武家諸法度が発布されます。
そのうちのひとつにこんな文があります。
「諸国ノ居城、修補ヲナスト雖、必ス言上スヘシ。況ンヤ新儀ノ構営堅ク停 止セシムル事。」
つまり、補修をする時には必ず申請し、新たな築城をするなということです。
この法令により、新たなお城(天守)が作られなくなっていきます。
【明治】廃城令(はいじょうれい)
1873年の廃藩置県により藩政が終わり、すべてのお城は陸軍の財産となりお城が存続の危機にたたされます。
陸軍用地として「在城」となるか、民家に払い下げる「廃城」として扱われるか選択が迫られます。
「在城」となったお城(43城)も、軍用地として使うため御殿などが取り壊されます。
「廃城」となったお城は、土地の売却や木材の転用などで取り壊されます。
【昭和】第二次世界大戦の空襲
昭和に入っても20基の天守が残っていましたが、第二次世界大戦の空襲など戦火に巻き込まれ、焼失してしまいます。
軍用地であったことや、目立つシンボルであったため標的とされました。
- 広島城
- 水戸城
- 大垣城
- 名古屋城
- 和歌山城
- 岡山城
- 福山城
- 松前城(空襲ではなく火事)
こうして、天守は幾度も取り壊しの危機があり、時代とともに無用の長物となっていったのでほとんどなくなっています。
そのため逆に言えば、今残っている天守は誰かが保存のために活動していないと残っていない天守ばかりです。
現在まで残っている天守を訪れる際には、なぜこの天守は残ったのだろうか?という視点を持ち合わせて鑑賞してみてください!
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まとめ
現存天守とは、江戸以前に作られた天守で12城しかない!
- 国宝指定されているのは5城!
- 天守にはそれぞれ個性がある!
- お城を取り壊すお触れがあり、そのせいで現存が少ない