お城の屋根に、なぜしゃちほこ?火除けの願いと金鯱の意味

お城の屋根に、なぜしゃちほこ?火除けの願いと金鯱の意味。古い紙に淡い水彩で描いた説明用イメージ。

お城の屋根にしゃちほこを載せるのは、火事から建物を守ってほしいという願いを託したためです。 水を呼ぶとされた想像上の生き物で、名古屋城の金鯱には徳川家の権威を示す意味もありました。

悩む庶民

お城の屋根にいる、魚みたいな飾り。どうしてあんな高いところにいるの?

あれは、虎のような頭と魚の体を持つ、想像上の生き物なんだ。海にいるシャチとは別だよ。

屋根の端で、尾をぐっと空に向けているしゃちほこ。名古屋城の金色の姿を思い浮かべる人も多いでしょう。

火事よけを、屋根の上の魚にお願いしていたんだ! よく見ると、魚にしては顔がいかつい。あの姿と役目を知ると、小さな飾りにもぐっと興味が湧いてきます。

顔と体、火除けの願い、金色の意味。順に見ていくと、「金の魚が載っている」だけでは見えなかった話がつながります。

虎に似た頭、魚の体とうろこ、空へ反る尾を持つしゃちほこの模式図。火除けの願いと、名古屋城の金鯱が示した権威を説明する。
しゃちほこの形と意味を説明するイメージ図。「権威の象徴」は名古屋城の金鯱についての説明です。特定の城の鯱を復元したものではありません。城なび制作(AI生成)。

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しゃちほこは、虎の頭と魚の体を持つ想像上の生き物

しゃちほこは漢字でと書きます。「魚」と「虎」が一つになった字です。

名古屋城調査研究センターの資料では、姿は魚、頭は虎で、火除けの加護があるとされる想像上の生き物、と説明されています。

動物園や水族館で見る、白黒の体をした海のシャチとは別です。同じ「鯱」という字が使われても、城の屋根にいるのは空想の生き物です。

見るところしゃちほこの特徴
虎に似た、獣のような顔
鱗を持つ魚の姿
屋根の上で空へ反る、目立つ形

実物の細部は城によって違います。写真や展示で顔を近くから見られるときは、体だけでなく口元や歯、目の表情にも注目してみてください。

出典:名古屋城調査研究センター「名古屋城小天守台西から出土した鯱瓦」(PDF)

なぜ屋根に?水を呼ぶとされた、火除けのまじない

城を預かる身なら、建物を火で失いたくはない。屋根の飾りにも、無事を願う気持ちを託したくなるのう。

木の建物を火から守りたい。その願いと、しゃちほこの姿はどうつながるのでしょう。

名古屋城の公式パンフレットは、鯱が水を呼ぶといわれることから、火除けのまじないとされてきたと説明しています。

水を呼ぶ生き物だから、火を遠ざけてもらいたい。そうか、魚の姿と火事よけが、ここでつながるんだ!

ただし、これは当時の願いや信仰についての話です。実際に水を噴き出して消火する装置ではありません。

出典:名古屋城のご案内(公式パンフレット・PDF)

屋根に載せられた飾りを、見栄えだけで選んだものと思っていたら、少し印象が変わりませんか。そこには「この建物を失いたくない」という願いも託されていました。

名古屋城では、金の輝きで権威も示した

悩む庶民

火事よけなら、金じゃなくてもよくない? 名古屋城のはピカピカすぎるよ!

公式には、徳川家康の支配力や、尾張徳川家の権威を示すためと説明されているよ。火除けの願いに加えて、見せる意味もあったんだ。

名古屋城の金鯱は、1612年に完成した天守を飾りました。名古屋城の公式解説は、その豪華な姿に徳川家の権威を示す意図があったとしています。

ここでは、二つの意味を分けて考えると分かりやすくなります。

見方託されたもの
しゃちほこを屋根に載せる火事から守ってほしいという願い
名古屋城で金の鯱を掲げる徳川家の支配力・権威を示すこと

金鯱は北側が雄、南側が雌の一対で、雄の方が大きく、金の鱗は雌の方が多い、と公式に紹介されています。左右がまったく同じ飾りというわけでもありません。

出典:名古屋城「金鯱」

金鯱は、中まで全部金でできている?

現在の金鯱は、戦災で失われたあと、1959年の天守再建に合わせて作られたものです。1612年から同じものが載り続けているわけではありません。

あの輝きには、本物の金が使われています。では、中まで全部金の塊なのでしょうか。答えは違います。

名古屋市の資料によると、現在の金鯱は青銅の芯や銅板などで形を作り、表面に18金の板を用いています。

現在の名古屋城の金鯱に使われる主な材料。表面は18金の板、形をつくる部材は銅板など、芯は青銅。全体が金の塊ではない。
現在の名古屋城の金鯱に使われる主な材料。部材の配置や厚さを再現した断面図ではありません。城なび制作(AI生成)。

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金の塊ではなく、表面を金の板で包んでいるんだ! 輝きの豪華さに加えて、複雑な形を板で仕上げる仕事にも目が向きます。

出典:名古屋城「金鯱」名古屋城・第15回天守閣部会資料「金鯱[現天守閣]」(PDF)

しゃちほこは、どの城でも金色なの?

名古屋城の金鯱が有名だと、しゃちほこは全部金色のように思えてきます。でも、ほかの城を見ると、材料もいろいろ!

姫路城の大天守には鯱瓦があり、松江城の鯱は木彫りに銅板を張ったつくりです。形の名前と、材料の名前を分けて見ると混乱しません。

しゃちほこの材料を3城で比較。名古屋城は表面に金板、姫路城は瓦、松江城は木彫りに銅板を張る。
3城のしゃちほこの材料を比べた模式図。実物の形・色・寸法を再現したものではありません。城なび制作(AI生成)。

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城の例公式資料で確認できるつくり
名古屋城(大天守の金鯱)現在の金鯱は、青銅や銅板などを用い、表面に金板を使う
姫路城大天守の屋根の最上部に、一対の鯱瓦を飾る
松江城木彫りに銅板を張る

出典:姫路城「城の楽しみ方」大天守松江城「天守外観」

遠くからでは、表面の色だけで材料を見分けにくいこともあります。そんなときは、展示や公式の解説を合わせて見ると、同じ「しゃちほこ」の中にある違いが分かります。

屋根を見る楽しみが、一つ増える

しゃちほこは、虎のような頭と魚の体を持つ、火除けの願いを託された生き物です。名古屋城では、金の輝きによって徳川家の権威も示しました。

次に城の写真を見るときは、屋根の両端に目を向けてみてください。尾の反り方、顔の表情、色や材料。遠目には小さく見えていた飾りにも、比べて楽しめる違いがあります。

名古屋城全体の見どころを知りたい方は、こちらもどうぞ。

姫路城の回り方は、こちらの記事で紹介しています。

出典確認:2026年9月6日。図は形と意味を説明するためのイメージです。

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