お城を山の上に築いた大きな理由は、急な斜面を、敵が近づきにくくする守りとして使えるからです。 一方、町の中などの平地は、人や物が行き来しやすく、政治の拠点を置くのに適した場所でした。
山道の先にある城と、駅から歩いて行ける町中の城。「同じお城なのに、どうして場所がこんなに違うの?」と気になりますよね。
その違いは、城で何を重視したかに目を向けると見えてきます。難しい名前を覚える前に、まずは地形の図から考えてみましょう。
悩む庶民山の上まで行くだけで大変です。どうして、わざわざあんな場所に?

その「近づくのが大変」が、守る側には利点になるんです。でも、暮らしやすさや人の行き来も考えると、山の上がいつも最適とは限りません。
山の上に城をつくると、坂道そのものが守りになる
もし自分が、城へ攻め上がる側だったら。平らな道を進むのと、急な斜面を登るのとでは、どちらが近づきやすいでしょうか。
山の城では、城の囲いにたどり着く前から、坂を上らなければなりません。建物や塀だけでなく、その手前の地形も守りに使うわけです。羽曳野市の解説でも、中世の城は、敵が攻めにくい険しい山に築かれたことが説明されています。

山城は山頂だけにあるわけではなく、尾根や中腹の斜面も利用しています。自然の山をそのまま使うだけでもありません。斜面を削って平らな場所をつくり、堀を掘ったり、土を盛った壁を築いたりして、守りを加えていました。斜面をさらに急に加工する工夫もあります。
図では、下から道をたどってみてください。ようやく上の平らな場所に近づいても、まだ囲いがある。「坂を登りきったら終わり」ではないところが、山を利用した城の面白さです。
昔の人は、毎日山の上で暮らしていたの?
ここで、もう一つ疑問が出てきます。守りやすいとしても、住む人まで毎日あの坂を上るのは大変そうです。
城によっては、普段暮らす屋敷をふもとなどに置き、戦いのときに山の城へ立てこもる使い分けがありました。甲賀市の城郭用語集では、日常生活の場となる屋敷は、主に平地や山麓にあったとされています。
ただし、山の城がすべて「戦いのときだけ使う場所」だったわけではありません。同じ解説では、戦国時代末期には山上に住む例が増えたことにも触れています。城が使われた時代や、その城の役割によって違いがありました。

守りやすい場所と、暮らしやすい場所。わしが城を構えるなら、その両方を考えねばならぬのう。
出典:甲賀市「城郭用語集」
それなら、町の中にある城はどうやって守るの?
平地には、山の急な斜面がありません。そこで、堀や土の壁、石垣、門などを組み合わせて守りを固めます。

例えば、松本城は盆地の平地に築かれた城です。公式解説によると、かつては三重の水堀をめぐらせ、土塁・石垣・門・櫓などで守りを固めていました。山の上でなくても、周囲に防御の仕組みを設けられるのです。
一方、平地には交通の便を確保しやすく、人々の暮らす場所や耕地に近いという利点があります。城が政治の拠点としての役割を強めると、こうした条件も大切になりました。
| 比べる点 | 山の上にある城 | 平地にある城 |
|---|---|---|
| 地形の特徴 | 急な斜面を守りに利用できる | 山の急斜面に頼らず、守りを設ける |
| 守りの工夫 | 山を加工し、堀や土の壁などを加える | 堀・土の壁・石垣・門などを組み合わせる |
| 暮らしや交通 | ふもとの屋敷と使い分ける例もある | 居住地や交通と結びつけやすい |
これは大まかな比較です。実際の城の立地は、地域の地形や時代、築いた人の目的によって違います。「高い場所なら必ず強い」「町の城は守りを考えていない」とまでは言えません。
山の城と平地の城には、どんな名前がある?
地形の違いが分かると、案内板に出てくる名前も読みやすくなります。
- 山城(やまじろ):山の地形を利用した城。
- 平城(ひらじろ):平地に築かれた城。松本城がその例です。
- 平山城(ひらやまじろ):平地の中の丘や小山を利用した城。姫路城などが挙げられます。
「山城」という言葉を知らなくても、出発点は「どうしてこんな高い場所に?」で十分です。名前は、見えている違いにあとから付いてくるものと考えると、ぐっと身近になります。
出典:羽曳野市「平山城」
城へ向かう道も、見どころになる
次に城を訪ねるときは、天守の姿だけでなく、城へ着くまでの高低差にも目を向けてみてください。
坂が続くのか。平らな場所に出るのか。堀を渡って中へ入るのか。現地の案内図と見比べると、その城がどんな地形を利用しているかを考えやすくなります。
現在の道が、そのまま昔の登城路とは限りません。見学できる道から、「もし自分が攻める側なら、どこで進みにくくなるだろう」と想像する。その問いがあるだけで、ただの坂道にも違った意味が見えてきます。
山の上に天守が残る城の一つ、備中松山城の記事もどうぞ。

山の上にある平らな区域について、名前や役割をもう少し知りたくなった方はこちらへ。

城の地形や守りの工夫が気になったら、図や地図のある本を手元に置くと、次の城歩きの予習にも役立ちます。
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参考資料
- 羽曳野市「平山城」:山地と平地の立地、山城・平城・平山城。
- 松本市「山城に見られる特徴」:平らな区域、堀、土の壁、斜面の加工。
- 甲賀市「城郭用語集」:日常の居館と、山上での居住。
- 国宝松本城「天守」:平地の立地と、かつての防御施設。
資料確認日:2026年9月23日。図は一般的な仕組みを示すイメージで、実在の城の測量図・復元図ではありません。吹き出しの会話は説明のための創作です。


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