曲輪は「くるわ」と読み、堀や土塁、切岸などで区画した城の区域を指します。「郭」と書くこともあります。 本丸や二の丸も、曲輪の一つです。
城の案内板に「曲輪」と書かれているのに、目の前には建物も高い石垣もなく、平らな地面が広がっているだけ。そんな場所では、どこを見ればいいのか迷いますよね。
実は、その区画された土地そのものが見どころです。曲輪は、天守や門のような一棟の建物を指す言葉ではありません。
この記事では、曲輪の意味と本丸との関係、主な種類を図と表で紹介します。
悩む庶民曲輪って、本丸の周りにあるものですか?

本丸の周りにもありますが、本丸自体も曲輪の一つです。城をいくつもの区域に分けて見る言葉だと考えると、分かりやすいですよ。
曲輪とは?読み方は「くるわ」
曲輪は、城を構成する区画です。さいたま市の岩槻城の解説では、土塁や堀で囲まれた区画が集まって城を構成することが説明されています。
堀が溝、土塁が土を盛った高まりだとすると、曲輪は、そうした施設などで区切られた区域です。囲んでいるものと、囲まれた区域を分けると、案内図が読みやすくなります。
「曲輪」と「郭」は、城の説明では同じ意味で使われる表記です。岡山県の解説では、中世の文書に「曲輪」が見られ、江戸時代には「郭」の字も使われたと紹介されています。
曲輪と本丸の違いは?本丸も曲輪のひとつ
「曲輪」が城の区画を指す言葉で、「本丸」は中心となる曲輪の呼び名です。
本丸のほかに、二の丸、三の丸、西の丸など、さまざまな名前の曲輪があります。「曲輪と本丸、どちらが大きい?」と考えるより、曲輪という区画にそれぞれの名前が付いている、と捉えると整理できます。
| 言葉 | 関係 |
|---|---|
| 曲輪 | 城を構成する区画を指す言葉 |
| 本丸 | 城の中心となる曲輪の呼び名 |
| 二の丸・三の丸など | 本丸以外の曲輪に付けられる名前の例 |
どの城にも本丸・二の丸・三の丸がそろっているわけではなく、名称や配置は城によって異なります。案内図を読むときも、必ず同心円状に並ぶと決めつけず、実際の形を確かめてみましょう。
本丸や本丸御殿、二の丸との関係については、こちらの記事でも紹介しています。

曲輪の役割は?山城なら地形から分かる
曲輪は、城内に使える場所を確保し、防御の拠点をつくるための区画です。岡山県の山城の解説では、尾根や斜面を平らに造成し、その周囲を急な斜面にしたり、堀や土塁を設けたりして守りを固めると説明されています。
ここで登場する、人工的に急にした斜面が切岸(きりぎし)です。ひろしまWEB博物館でも、曲輪は造成した平坦面、切岸は防御のための人工的な急斜面として説明されています。平らな場所と急な斜面を組み合わせることで、利用しやすさと登りにくさが隣り合う地形が生まれます。

図の青緑で示した平らな区域が曲輪です。中心となる曲輪は主郭と呼ばれ、その周囲にも曲輪が配置されています。建物がなくても、土地の形から城のつくりを読み取れることが分かります。
曲輪を探すとき、高い石垣があることを条件にする必要はありません。 土を削り、盛り上げてつくった山城にも曲輪があります。
出典:岡山県古代吉備文化財センター「城の要」、ひろしまWEB博物館「山城の機能と構造」
悩む庶民ただの広場に見えていた場所も、周りの斜面とセットで見るんですね。

はい。足元の平らな場所と、その縁の段差を見比べると、「ここを使い、ここで守る」という配置が見えてきます。
主郭・帯曲輪・腰曲輪・出曲輪とは?
曲輪には、中心との位置関係や形を表す呼び名もあります。山城の案内板で見かける、次の4つを押さえておくと便利です。
| 名称・読み方 | 位置や形の目安 |
|---|---|
| 主郭(しゅかく) | 城の中心となる曲輪。「本曲輪」と呼ばれることもある |
| 帯曲輪(おびぐるわ) | 主な曲輪の周囲に、帯のように細長く設けた曲輪 |
| 腰曲輪(こしぐるわ) | 主な曲輪の下方に設けた、比較的小さな曲輪 |
| 出曲輪(でぐるわ) | 中心となる曲輪から離れて設けた曲輪 |
「帯曲輪」「腰曲輪」は、それぞれ「おびくるわ」「こしくるわ」と濁らずに読む資料もあります。
帯曲輪や腰曲輪は、主な曲輪を守ったり、曲輪同士を結ぶ通路になったりしました。出曲輪は、見張りや防御のための拠点として使われたと考えられています。
帯曲輪と腰曲輪は、資料によって説明の仕方が異なり、厳密に使い分けない場合もあります。この表は特徴をつかむための目安です。現地では、案内板の名称と説明を合わせて確認しましょう。
出典:岡山県古代吉備文化財センター「城の要」、甲賀市「城郭用語集」、大東市・四條畷市『クローズアップ飯盛城2018』用語解説(PDF)
曲輪を見つける、城歩きの3つの視点
現地では、地面を眺めるだけでなく、案内図と周囲の地形を交互に見てみてください。
- 広がり:どこからどこまでが一つの曲輪なのか。
- 境目:周りに堀、土塁、切岸などがあるか。
- つながり:隣の曲輪とは、どのような高低差や出入口でつながっているか。
「自分なら、どこから近づこうとするだろう」。そう考えながら案内図を見ると、平らな場所だけでなく、その周囲の段差も気になってきます。実際に歩くときは、整備された見学路から観察しましょう。
曲輪は、城の区域を表す言葉。本丸もその一つです。名前の意味が分かると、建物のない城跡でも、足元に残った城の形を楽しめます。
堀の形や役割も知ると、曲輪の境目をさらに見つけやすくなります。

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参考資料
- さいたま市「岩槻城跡を探る」:曲輪の定義、本丸などとの関係。
- 岡山県古代吉備文化財センター「城の要」:山城の曲輪、表記、主郭・帯曲輪・腰曲輪・出曲輪、切岸。
- 甲賀市「城郭用語集」:曲輪・主郭・腰曲輪の定義。
- 大東市・四條畷市『クローズアップ飯盛城2018』18ページ(PDF):帯曲輪・腰曲輪の呼び分け。
- ひろしまWEB博物館「山城の機能と構造」:山城の曲輪・主郭・切岸の説明。
資料確認日:2026年9月16日。図は説明のために作成した模式図で、実在する城の測量図・復元図ではありません。


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