福山城はなぜ北側だけ黒い?鉄板張りの守りと、復元した姿

福山城をイメージした五層天守の黒い北面と白い隣接面、白い最上層を示した水彩の表紙

福山城の天守の北側が黒いのは、城の北寄りにある天守を、城外からの攻撃に備えて鉄板で補強していたためです。鉄板には風雨への備えという役割もありました。いま見える黒い外壁は、2022年の整備で昔の姿に近づけたものです。

白いお城だと思っていたのに、反対から見ると黒い! 福山城は、見る方向で印象が変わります。色の違いをたどると、天守をどこに置き、どちらを厚く守ろうとしたかまで見えてくるんです。

悩む庶民

同じ天守なのに、北側だけ着替えたみたい! 見た目を変えるために黒くしたの?

黒い面には、鉄板で壁を補強する役目があるんだ。なぜ北側だったかを、天守の位置から見てみよう。

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天守が北寄りにあるから、北側の備えを厚くした

福山市の解説によると、天守は城全体の北側に寄っています。そのため、城の外から天守を直接攻撃されることへの備えが必要でした。鉄板は、その北側の壁を補強していたのです。

福山城博物館も、北側の鉄板を城の背面を守るためのものと説明しています。単に「鉄で強くした城」ではなく、天守と城の外との位置関係に合わせた備えだった、と考えると分かりやすいですね。

下の図は、この位置関係と壁の材料を分けて示したものです。実際の縄張りや距離、攻撃の経路を描いた地図ではありません。

左に城域の北寄りにある天守の位置関係、右に隙間なく並ぶ黒い鉄板で壁を補強するイメージを示す模式図
AI生成の模式図。左は北寄りの天守と城の外の位置関係、右は鉄板で壁を補強するイメージです。実際の縄張り・距離・建物・施工法を復元した図ではありません。

なるほど、色だけを比べていては分からないんだ! 黒い壁から城全体へと目を広げると、「なぜその方向を守るのか」という問いにつながります。

出典:福山市「鉄壁の防御の構え 福山城天守北側鉄板張り」

北面の最上階まで、全部が黒いわけではない

「北側だけ黒い」といっても、北側壁面の鉄板張りは最上階を除く範囲です。上から下まで黒い箱に包まれたような天守を想像すると、実際の見え方と違ってしまいます。

また、市の解説には、東西の面の北端にも、端を納めるための鉄板が付いていたとあります。「北側だけ」は天守の主な面の違いを表す言い方で、東西の端には一切鉄板がない、という意味ではありません。

同じ黒い城でも、材料まで同じとは限らない点も面白いところです。松本城の黒い板壁との違いは、姫路城は白、松本城は黒。その色の正体は?で比べられます。

出典:福山市「福山城天守北側鉄板張り」最上階と東西面の北端の説明

いまの黒い壁は、2022年に復元した姿

北側の鉄板は、現代になって初めて思いついた工夫ではありません。福山市は、1698年の記録に、天守の北側を鉄で覆っていたことが書かれていると紹介しています。昔の写真や文書が、失われた姿を調べる手掛かりになりました。

一方、いま見える天守そのものは江戸時代の建物ではありません。福山城博物館によると、旧天守は1945年の福山空襲で焼失し、現在の天守は1966年に再建されました。その後、2020~2022年の「令和の大普請」で、北側の鉄板張りなどの外観を昔の姿へ近づけています。

ここは二つの時代を分けたいところです。1966年は現在の天守の再建、2022年は北側の鉄板張りを含む外観の復元。「2022年に天守を新築した」わけではないのです。

出典:福山城博物館「天守」再建と令和の大普請

復元した鉄板を、江戸時代の現物とは考えない

復元では、古写真や残された鉄板などを参考に、表面の質感や留める鋲、板の重なりまで調べています。ただし福山市は、建物の安全性を考えて現代の素材や工法を採用していることも明記しています。

昔の姿に近づけることと、昔の材料をそのまま全部使うことは別なんですね。外観を見て分かることと、復元の記録を読んで分かることを合わせると、黒い面の見方が一段深まります。鉄板があればどんな砲弾にも耐えた、といった性能までは、ここで参照した資料から断定できません。

出典:福山市「福山城天守北側鉄板張り」復元的整備の説明

次に見るなら、白と黒の境目へ

福山城の写真では、白い面と黒い北面、そして北面でも白い最上階を見比べてみてください。黒い部分の縦の板や留め具に注目すると、塗り分けという印象から、壁を守るための仕上げという見方へ変わります。

悩む庶民

黒いから強そう、で終わらないんだね。どちらを守りたいかが色に出ているんだ!

そう。天守が城のどこに立っているかまで考えると、同じ建物でも見る方向を変えたくなるね。

福山城を建物の使い方から見るなら、昔のお城にもお風呂はあった?もどうぞ。こちらは御湯殿の仕組みと、誰が使ったかについて分かっている範囲を紹介しています。

城の本や図を見るときも、天守だけを切り抜かず、城全体のどこに立っているかを一緒に探すと、守りの工夫を見つける入口になります。

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資料の確認日:2026年10月16日。表紙と本文図は城なび制作のAI生成の模式図です。実景・実測・特定時代の建物や縄張り、距離、施工法を正確に復元した図ではありません。

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