高松城のお堀に鯛が暮らせるのは、堀が水門を通じて瀬戸内海とつながり、海水が入っているからです。 淡水の池を思い浮かべると意外ですが、魚にとっては海水の環境なのです。
お堀に鯛! その取り合わせだけでも気になるのに、理由をたどると海へつながるんだ。魚の話から城の仕組みが見えてくるのが、面白いところです。
舞台は香川県高松市の高松城跡・玉藻公園。鯛を入口に、水門、潮の満ち引き、昔の船の出入りまでのぞいてみましょう。
※この記事は香川県の高松城を扱います。秀吉の水攻めで知られる岡山県の備中高松城とは別の城です。
堀にいるのは鯛だけではない
高松市の「内堀」の解説には、タイのほか、クロダイ、ボラ、メバルなども紹介されています。海水にすむ魚たちが、城の堀で暮らしているのです。公式観光サイトでも、堀を泳ぐ鯛を見ることができます。
悩む庶民タイに、クロダイに、メバルまで! 海の魚が、お城に引っ越してきたみたい!

水が海水だから、海の魚が暮らせるんだね。ただ、鯛が全部、自分で海から泳いできたという話ではないよ。
では、城の中まで海水はどこを通ってくるのでしょうか。
出典:高松市「内堀」水門と堀の生き物、高松市公式観光サイト「鯛をお供に殿様・姫様気分で“鯛”願城就の舟あそび」
海水は、水門を通って堀へ入る
海と堀をつないでいるのは、現在、二ノ丸と三ノ丸の間にある水門です。下の図では、海と堀の間をたどり、水門を通って水がつながる様子を見てください。

石垣に囲まれていても、水のつながりは城の外まで続いている。そうか、堀だけ見ていては分からないんだ! 水門の先に海があると知ると、魚たちのいる景色にも納得です。
ただし、この図で説明しているのは現在のつながりです。高松市によると、昔の水門は現在と形・場所が違っていた可能性が高く、当時の水管理には分からない部分も残っています。
潮が引くと、石垣の足元も見え方が変わる
海とつながる堀には、潮の満ち引きも関わります。高松市によると、内堀の岸は浅く、干潮時には石垣の裾が完全に見えることもあるそうです。
下の図では、同じ石垣のどこまでが水に隠れているかを比べてください。潮が引くと、それまで水中にあった石や岸の浅い部分が現れます。

悩む庶民潮が引いたら、鯛の居場所もなくなっちゃうの?

岸が見えても、堀全部の水がなくなるわけではないよ。中央には干潮時でも2メートル余りの深さがある、と高松市が説明しているんだ。
同じ石垣なのに、潮で足元の見え方が変わるんだ! 写真でも、水面と石垣が接する位置に注目してみてください。城の中まで海の影響が届いていることを感じられます。
水を通す水門と、船で出入りする門は別
高松城では、水だけでなく人も海へ出入りしていました。藩主は城の門から小舟に乗り、沖合の本船へ乗り換えて大坂へ向かったと、高松市公式観光サイトは紹介しています。
その出入り口が、かつて海に面していた水手御門(みずてごもん)です。堀へ水を通す「水門」とは役割が違います。次の図では、左の水のつながりと、右の小舟から本船への移動を見比べてください。

悩む庶民門の向こうが海!? お殿様も、そこから船に乗っちゃうの?

海へ出るなら、城から船に乗れる出入り口がほしいのう。城の主の目線で見ると、海は移動の道でもあるのじゃ。

水手御門から小舟に乗り、沖合の本船へ乗り換えて大坂へ向かったと紹介されているよ。堀へ水を通す水門とは、別の役割なんだ。
城の門といえば、道を歩いて通るもの。そんなイメージが、ここでひっくり返ります。魚だけでなく、お殿様の移動まで海につながっていたんだ!
出典:高松市公式観光サイト「波間に浮かぶ要塞!? 史跡高松城跡の必見ポイントを攻めよ!」水手御門、同「鯛をお供に殿様・姫様気分で“鯛”願城就の舟あそび」
今は街の中でも、海城の手がかりは残っている
高松城は、生駒親正(いこまちかまさ)が1588年から築城を始めた城です。その後、明治期には外堀や城の北側の埋め立てが進みました。現在の道路や街並みだけを見ていると、かつての海との近さを想像しにくいのも無理はありません。
高松城を見るときは、まず堀の魚、次に水面と石垣が接する位置、そして水門や水手御門へ。「お堀に鯛がいる!」から始まった話が、城と海の付き合い方にまで広がりました。魚を一匹見つけるだけでも、そこから城の外へ想像を伸ばせる。そんな見方ができる城なんです。
見学の前には、高松市の公式観光ページでも城の見どころを確認できます。
水と城の関係は、水攻めに耐えた忍城でも見方を変える手がかりになります。

本文・出典の確認日:2026年9月8日。表紙・本文図は城なび制作(AI生成)。仕組みを伝えるための模式的なイメージで、地形・水路・建物・船・航路を正確に復元したものではありません。
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