昔のお城にもお風呂はあった?名古屋城・福山城の蒸し風呂を図解

昔の城にも入浴設備があったかを問い、蒸気のある空の木造室を描いた表紙

昔のお城にも、入浴のための設備はありました。名古屋城の湯殿書院と、福山城の御湯殿はその例です。ただし、名古屋城の風呂には、いまのように湯をためて浸かる湯船がありませんでした。外の釜で沸かした湯の蒸気を、室内へ入れる仕組みだったのです。

福山城も公式に「蒸し風呂」と説明されています。一方で、設備が風呂として造られたことと、歴代の藩主が実際に使い続けたことは、別の話。二つの城を比べると、昔の入浴と、史料から分かる範囲が見えてきます。

お城にもお風呂があるなら、大きな湯船に殿様が浸かっていたのかな?

名古屋城は、湯船がなく、湯気を入れる風呂でした。福山城と比べながら、「設備の仕組み」と「使った人」を見てみましょう。

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名古屋城のお風呂は、湯船に浸かる場所ではなかった

名古屋城本丸御殿の湯殿書院は、将軍専用の浴室です。名古屋城公式によると、外に置いた釜で湯を沸かし、その湯気を内部へ導く蒸し風呂でした。湯殿という名前から浴槽を想像すると、ここで意外な違いに出会います。

下の図は、「湯をためる」と「湯気を入れる」の違いを示したものです。矢印は湯気の流れの概念を表し、昔の配管の位置や建物の形を復元したものではありません。

現代の湯船は湯をためる。名古屋城の蒸し風呂は外の釜で湯を沸かし湯気を室内へ入れ、室内に湯船はないという比較図
AI生成の模式図。名古屋城公式の説明をもとに、湯船と蒸し風呂の違いを示しています。建物の配置・配管・寸法の復元図ではありません。

もう一つ、いま見える建物をそのまま昔の姿と受け取れない点があります。公式説明では、湯殿の床には排水のための傾斜と排水溝があり、蒸し風呂として使われなくなった後に水平へ改造されたと考えられています。ただし、傾斜していた床の記録は残っていないため、復元では古写真に写る水平な床を採用しています。現在の床だけを見て、当初の排水構造まで断定することはできません。

根拠:名古屋城公式「本丸御殿」湯殿書院の説明。外釜と湯船のない蒸し風呂については、名古屋市図書館の調査報告でも確認できます。

福山城では、御殿と風呂が廊下でつながっていた

福山城の御湯殿は、本丸南側に造られた藩主用の風呂場です。福山城博物館は、現代のサウナに似た蒸し風呂で、本丸御殿と廊下続きだったと説明しています。風呂だけが離れてあるのではなく、御殿での生活とつながる設備だったことが分かります。

御湯殿には風呂のほかに「物見の間」があり、上段の間では藩主が湯上がりに涼を取ったと伝えられています。入浴する空間と、その後に休む空間まで考えると、天守の見た目だけでは捉えにくい城の生活が浮かびます。

ただし、名古屋城で確認できる外釜の仕組みを、そのまま福山城にも当てはめることはできません。この記事の図は名古屋城の説明を模式化したもので、福山城の配管や内部構造を示してはいません。

「風呂があった」と「誰が使ったか」は分けて考える

福山城の初代藩主・水野勝成は本丸御殿に住んだと伝わるため、博物館は御湯殿を使った可能性が高いとしています。一方、2代藩主の水野勝俊以降は三之丸東側の藩主専用の館に住んだため、それ以降も純粋に湯殿として使われたかは不明です。「藩主用の風呂」という用途が分かっても、歴代の使用実績まで分かるわけではありません。

比べる点名古屋城福山城
入浴設備将軍専用の湯殿書院藩主用の御湯殿
公式が説明する仕組み湯船なし。外の釜の湯気を内部へサウナに似た蒸し風呂。御殿と廊下続き
使った人について専用設備という説明から、使用頻度までは分からない勝成の使用は可能性が高い。勝俊以降の湯殿利用は不明
現在の建物を読む注意点湯殿の床は古写真の水平床で復元現在の御湯殿は1966年に外観を復元

福山城で現在見られる御湯殿は、1966年に木造で外観を復元したものです。いまの建物の姿と、昔の入浴の仕組みや使い方は、説明資料と合わせて読み分けたいところです。

根拠:福山城博物館「御湯殿」。使用者についての「可能性が高い」「不明」という説明も、この資料に従っています。

お城を見るときは、湯殿から暮らしを想像してみる

昔の城にも風呂はあり、名古屋城と福山城では蒸し風呂が説明されています。ただし、これをすべての城や、城にいた全員の入浴習慣へ広げることはできません。

湯殿という名前を見つけたら、湯をためる場所だったのか、湯気を使う場所だったのか。御殿とはどうつながっていたのか。そして、誰が使ったと確認できるのか。この三つを分けて見ると、設備の名前が、そこで過ごした人の生活へつながります。

風呂の名前が残っていても、歴代みんなが使ったとは限らないんだね。

はい。分かる仕組みを楽しみつつ、記録がない部分は想像と区別すると、城の見方が深まります。

御殿の暮らしと名古屋城をもう少し知る

殿様の生活の場所を知りたい方は、殿様は天守に住んでいた?へ。名古屋城の見学対象を整理したい方は、名古屋城の天守と本丸御殿の見学案内をご覧ください。

本文の史実は2026年10月9日に公式資料を確認しました。表紙と比較図はAI生成の模式図で、実景・実測図ではありません。

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