お城の大きな石はどう運んだ?そりと舟でつなぐ石垣づくり

大きな石を木のそりで曳き、舟でも運ぶ仕組みを描いた表紙

お城の大きな石は、木のそりに載せて大人数で曳いたり、舟に積んで水路を運んだりしました。 大阪城の公式資料には、丸太の上でそりを曳く方法と、池や海を使った運搬の例が紹介されています。陸と水で運び方を変える工夫が、石垣づくりを支えていたのです。

石垣を見上げると、人の背丈より大きな石が目に入ります。これを人が担いで山から城まで運ぶ場面を想像すると、途方もない仕事に思えますよね。石をずっと持ち上げて運ぶのではなく、道具や水路を使って運ぶ。その違いから見てみましょう。

悩む庶民

クレーンやトラックがないのに、こんな大きな石を運べたの?

石をそりに載せて曳く方法がありました。水の区間では舟も使われています。道のりに合わせて運び方を変えたんですね。

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陸では、石を木のそりに載せて曳く

大阪城天守閣の「大阪城ゆかりの地マップ・石垣編」は、修羅(しゅら)という木製の運搬具を説明しています。名前は難しくても、仕組みは「重い荷物を載せるそり」です。

丸太を並べ、その上に石を載せた修羅を置き、大人数で曳いて動かす。石・そり・敷き木を下の図の順で見ると、どこに荷を置き、何を曳くのかが分かります。

丸太の敷き木の上に置いた木のそりに石を載せ、前方の綱で曳く仕組み
AI生成の模式図。石・そり・敷き木の関係を示しています。形・人数・大きさは説明用で、実際の工事の再現ではありません。

図の人物数や道具の形は説明用です。石の重さや道の状態によって条件は変わるため、「この人数なら、どのお城の石でも運べた」とは言えません。また、丸太を敷く方法と、丸太をころとして転がす方法を同じものとして扱わないことも大切です。

人数だけでなく、石の下に敷く道にも工夫があった

そりに載せれば簡単に動く、というわけでもありません。藤井寺市が紹介する1978年の復元修羅の牽引実験には、道の条件を変えたときの様子が記録されています。これは昔の城工事そのものの記録ではなく、出土した修羅をもとに作った道具の実験です。

まず、地面にじかに置いた修羅へ14トンの花崗岩を載せ、200人で曳きましたが動きませんでした。300人に増やしても、掛け声1回につき進んだ距離は約5センチでした。次に、80センチ間隔で丸太を敷いた道では、1回の掛け声で1メートル以上進んだと紹介されています。

「大勢で曳く」だけでなく、荷を載せる道具と、その下の道を一緒に考える。この実験は、その工夫を具体的に想像する手がかりになります。ただし、丸太の道での曳き手の人数はこの解説に明記されていません。ここから何人分の力が節約できたかを計算したり、当時の城工事に必要だった人数を決めたりはできません。

遠くの石は、舟に積んで水の道を運んだ

山から城まで、ずっとそりで曳いたのでしょうか。大阪城の資料を見ると、水路を使った運び方も分かります。

公式マップの「深北緑地」の解説は、飯盛山を含む生駒山系の地域では、豊臣期・徳川期に採石が行われていたと考えられるとしています。同じ解説によると、石は谷川を使って麓に下ろし、現在の深北緑地周辺にかつてあった深野池(ふこのいけ)から舟で大坂へ運んだということです。

同じ資料では、小豆島も、海上輸送によって大坂まで石を運ぶのに便利な場所として紹介されています。陸の作業だけでなく、池や海も城へ石を届ける道になっていたのです。

陸では石を載せたそりを曳き、水の区間では舟に積み替える二つの場面
AI生成の模式図。陸と水で運び方を変える関係を示しています。矢印は実際の航路ではなく、舟の形・荷の大きさ・人数も復元ではありません。

図は陸と水の運び方を並べた模式図です。矢印は、実際の航路や、どの場所でも同じ順序で積み替えたことを示していません。舟の具体的な形や石の積込み装置も、この図で復元しているわけではありません。

悩む庶民

石垣は、城のそばで石を積むだけの仕事ではなかったんだね。

石を手に入れる場所から城へ届けるまでの仕事があって、ようやく積めるんです。石一つを見る目が少し変わりますね。

石垣を見たら、「ここへ来るまで」にも目を向ける

大きな石を前にしたら、持ち上げる力だけを考えるより、どんな道具に載せ、どんな道を通ったのかを考えると、昔の工夫が見えてきます。陸ではそりと敷き木、水の区間では舟。今回の資料で確認できる運搬の仕組みです。

ただし、ここで紹介した例を、すべての城・すべての時代の石垣にそのまま当てはめることはできません。現地の解説で石の産地や石切り場、運搬に使った水路の情報を見つけたら、その城の石がどこから来たかをたどってみてください。

城へ届いた石をどう積むのかは石垣の積み方と種類で、表面のしるしはお城の石にあるマークの意味で紹介しています。大阪城の石垣を見る際は、豊臣・徳川・現在の大阪城の違いも合わせて読むと、時代の整理に役立ちます。

参考資料

大阪城天守閣「大阪城ゆかりの地マップ・石垣編」(PDFの4ページ「修羅」、6ページ「深北緑地」「小豆島石丁場跡」)/藤井寺市「修羅を曳く(No.8)」(『広報ふじいでら』1990年11月号掲載の復元実験記録)。2026年10月7日に内容を確認しました。

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