二条城の床はなぜ鳴る?鶯張りと「忍者対策」の話

二条城の鶯張りを題材に、木造の廊下と床からの音を描いた表紙。廊下のイメージ。

二条城・二の丸御殿の床が鳴るのは、人が歩いたときに、床下の「目かすがい」という金具と釘がこすれるためです。鳥の鳴き声のような音がすることから、「鶯張り(うぐいすばり)」と呼ばれています。

木の廊下を歩くと、キュッ、キュッ。木の板が鳴っていると思いきや、音を生んでいたのは見えないところの金具だった! 床の下を想像すると、何気ない一歩もちょっと面白くなります。

悩む庶民

それ、忍者が来たら分かるように作ったんでしょ? 昔の防犯装置だって聞いたよ!

よく聞く話ですね。でも「どうして音が出るか」と「何のために造ったか」は別の問いです。まずは、公式に説明されている音の仕組みから見てみましょう。

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鶯張りの音は、床の下で生まれる

二条城公式サイトの「二の丸御殿の廊下」には、床下の構造図とともに、音が出るのは目かすがいと釘がこすれるためだと説明されています。

目かすがいは床板を留める金具で、根太(ねだ)は床板を下から支える横木です。見える床板だけでなく、その下にも部材が組み合わされています。

床板に取り付く目かすがいと、根太側の釘が接してこすれる部分を大きく示した鶯張りの模式図。
二条城公式の説明をもとにしたAI生成の模式図。金具と釘の接点を拡大しており、実際の寸法・形状や床全体の復元ではありません。

人が歩く重みで床板がわずかに動くと、金具と釘の接する部分がこすれます。その音が、床の上まで聞こえてくるのです。

床下に鳥の声を出す笛が入っているわけでも、鳥が隠れているわけでもありません。「鶯張り」という風流な名前と、金具がこすれるという身近な仕組み。この組み合わせが、なんだかいいですね。

図では、音が生じる接点を見やすくするため、金具を大きく描いています。実際の金具の寸法や床全体を復元した図ではありません。

「忍者を見つけるため」と言い切ってよいの?

音が鳴れば、誰かが歩いたことに気づく場合はあるでしょう。けれども、それだけでは「侵入者を知らせる目的で、最初から音が鳴るよう設計した」とまでは言えません。

ここは、音が出る原因と、造った人の目的を分けて考えたいところです。

知りたいこと確認できる説明
なぜ音が出るのか二条城公式は、目かすがいと釘のこすれを説明している
防犯のために音が鳴るよう造ったのか音の仕組みだけから、設計の目的までは決められない

この点は、山梨県立図書館が2014年に調べた記録にも登場します。当時の調査では、経年変化で音が出るようになったとする説や、意図的か偶然かは分からないという文献・新聞記事が紹介されていました。

これは2014年時点の調査記録です。現在の研究すべてを代表する結論として扱うものではありません。一方、今回確認した二条城公式の廊下の解説も、音の仕組みを述べており、忍者対策としての設計を裏付ける説明はありませんでした。

悩む庶民

音がするから、最初から警報装置として作ったはず……って考えちゃってた!

仕組みが分かることと、昔の人の狙いまで分かることは、同じではないんですね。

「実は忍者対策だった!」も、「忍者対策は完全なうそ!」も、強く言い切る前に一呼吸。床下の仕組みだけでも十分に面白いので、この記事では、確かめられたところから楽しむことにします。

将軍を守っていたのは、床の音だけ?

二条城は、将軍が京都へ来たときの宿泊所などとして造営されました。豪華な建物を眺めるだけの場所ではなく、人が滞在し、対面し、警護する場所でもあったのです。京都市「二条城」

実際の警護について、二条城公式の「番所」の説明では、幕府から派遣された「二条在番」の武士たちが、平時に宿直・警護をしていたことが紹介されています。

わしが泊まるなら、床の音だけを頼りにはできぬのう。見張る者や警護の備えもあってこそ、安心して休めるのじゃ。

不思議な音に気を取られていましたが、城を守る人たちの仕事にも目が向きますね。鶯張りの話をきっかけにすると、御殿が「人の過ごす建物」だったことも、少し身近になります。

殿様はお城のどこで暮らしていたのか。天守と御殿の違いは、こちらで紹介しています。

次に歩くときは、床下の小さな金具を思い浮かべよう

鶯張りを知ると、二の丸御殿では目だけでなく、耳も働きます。豪華な部屋に目を向けつつ、歩いたときの音にも少し注目してみてください。

音を確かめるために強く踏んだり、跳ねたりする必要はありません。案内に沿って普段どおりに歩き、その一歩の下で金具が動く様子を思い浮かべる。それだけで、廊下も立派な見どころになります。

「忍者がいたのかな?」の先に、「あの音はどこで生まれているんだろう?」がある。小さな疑問から、木造建築の見えない部分まで想像できるのが、お城歩きの楽しいところです。

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参考資料

資料確認:2026年9月14日。表紙と本文図はAI生成の説明用イメージ・模式図です。

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